フロントランナー㉕ 塩根 嗣理さん | 熊本むらづくり

フロントランナー㉕ 塩根 嗣理さん

2025-02-27

「自然おこしは地域おこし」
身近な自然の「いいね!」「シェア」「フォロー」からの持続可能な社会づくり

塩根 嗣理(しおね ひでまさ)

地域&⾃然おこし団体 自然処(じねんしょ)

自然処、代表。幼少期より野山川海を駆け回り、魚類生態学を研究。環境コンサルタント会社で環境保全や自然再生事業等に従事後、財団法人にて人・地域・政策づくりに関して、海外も含む様々な地域で学びながら取り組む。「身近な自然こそ社会の基盤」との思いから、地元である芦北地域に帰郷し、自然を生かした持続可能な人づくり・地域づくりを平成28年(2016年)にスタート。

これまでのむらづくり活動は?

環境、経済、人(コミュニティ)がともに、自然と続いていく社会(=持続可能な社会、「自然(じねん)」の世界)づくりを目指し、他団体とも連携しながら、地域の自然を生かした産業づくり、人づくり、生き物と顔の見える関係づくりをコンセプトに活動を展開しています。

具体的には、以下のようなことに取り組んできました。

  1. 芦北町大野地区では、寒い時期の辛い農作業を、地域内外の人と共に楽しむために「麦踏まつり」を開催。
  2. 水俣市では、水俣病からの海や川の再生について、生息しているお魚さんに先生になってもらいながら学び、魅力ある海・水辺づくり活動を展開する「キラキラ輝く魚の海づくり」を展開。
  3. 地域のいらないもの(余剰資源・未利用資源)とされている資源を活用し、地域や家庭の楽しい食を提案する「ガレットの楽講(がっこう)」を開催。

また、地域の大きな問題となっている耕作放棄地において、ヘイケボタル、カヤネズミやドジョウなどの在来生物の住処づくりに取り組み、人・自然・未来に優しい農を探求し、農を学べる出会いの場として、自然処農縁(じねんしょのうえん)を運営しています。

今後、取り組みたいことは?

自然処発のむらづくりは、「◯×クイズ」です。「◯(まる=いいね!)」と「×(掛ける=シェア&フォロー)」を重ねて、◯×◯×◯×…の組み合わせによる「X次産業」を目指します。ただし、これは掛け算なので、①地域に根差した一次産業、その基盤である自然環境を1未満(本来の力未満)にしないことが必要です。また、②「いいね!」を「シェア&フォロー」する人とその価値をしっかり共有し、共感、共鳴の輪を広げていくことも重要です。そして、①と②の相互作用よって、自然と人の織りなす地域の好循環(=生き物が賑わえば、人が賑わう)を生み出すことを目指し、以下の2つを柱として、取り組んでいきたいです。

◆生き物の賑わいを作る

生き物との農地のシェア:自然・生き物と共創する農(環境再生型・創造型農)の展開。気候変動、鳥獣及び虫害を受けにくい作物や方法を研究しながら、農地を絶滅危惧種や在来種の生息環境とし、それら生物の力を生かし、生き物が賑わう農を追求します。

◆人の賑わいを作る

体験・体感・感動のシェア:地域再生の旅(リジェネラティブ・ツーリズム)と地域支援型産業を展開し、地域内外のフォロワーを獲得。「とったどー」「そだてたどー」「つくったどー」等の一次産業の魅力を共に楽しみ、学びながら、地域づくりの担い手と共に新たな知見を獲得しながら、収益力のある持続可能なツーリズム、消費者が生産をフォローしていくCSA(地域支援型農(林水産)業)を仕掛けます。

また、「自然(じねん)」の伝道師として、持続可能な地域社会づくりの仲間を増やすべく、その学び&交流の場づくりを県内外、各地に広めていきたいと考えています。

塾での学びが役立ったことは?

むらづくりにおける、様々な人の考えや思い、その理念、取り組みの実情等を知ることができたのは、自分たちの活動を振り返るうえで有意義でした。ただ、それ以上に、正解が無い中、一朝一夕にはいかない中で、もがき・苦しみ、そして楽しみながら活動されている様子を垣間見ることができたことは、自分たちの活動の心の糧・勇気となり、何より大きなことだったと感じています。

また、今回出会った素敵な取り組みをされている方からは、その地域の人たちや風景、文化、食べ物などが本当に好きで、愛していることがしみじみと伝わり、その人柄と行動力で地域の方々の信頼を得て、地域の様々な人や、コトとの繋ぎ役となっていることが感じられました。情報戦略、コンテンツ化で溢れるむらづくりの中で、本当に大切にしなければならないものは何かを気付かされました。

Message ~これからむらづくり活動を考えている方へ~

私が所属していた財団法人では、「志」一つ鞄に詰め込んでくればいいと言われましたが、むらづくりも同じではないでしょうか。このむらの「これは」というものを頭ではなく、心から感じることができれば、そこから展開する活動は上手くいくこと間違いなし!? きっと取り囲む環境や社会情勢、資金面から生じる雑念などを振り払いながら、上手くいくまで、試行錯誤し、自分自身の責任のもとに活動を継続していけるので。簡単に辿り着けないかもしれませんが、今一度、自分にとって地域の何が本当に大事なのか、是非、心の面からの深掘りをしてください!

また、個々の地域だと孤立しがちですが、各地には、今日も同じように苦しみ、楽しみながら活動している同志がいっぱい! 勝手な心の友として、お互いに心と情報を通わせて、まずは第一歩を踏み出し、今日も一つ一つ、頭だけでなく、身体も動かして取り組んでいきましょう!

そして、安心してください。私も未だ上手くいかないことの連続ですが、むらづくりは「それでも」楽しいです。理念とビジョン、目標、活動計画は定め、練りつつも、成果を求め過ぎず、その過程で出会った地域の人・もの・ことを一つずつ大切にすることで、「やおいかん(簡単にはいかない)」ことさえも楽しみとなるはずです。

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